NYで新しく開通したセカンドアベニュー・サブウェイは
2.75ドルで楽しめるミュージアム!
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<div>NYで新しく開通したセカンドアベニュー・サブウェイは</br> 2.75ドルで楽しめるミュージアム!</div> <div>NYで新しく開通したセカンドアベニュー・サブウェイは</br> 2.75ドルで楽しめるミュージアム!</div>

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スーパーリアリズムからニューヨーカーが主役の作品まで、 地下鉄構内アートの見どころはここ!

2017年1月にマンハッタンで開通した、セカンドアベニュー・サブウェイ。約100年前に構想されて、1970年代に着工されたものの、ニューヨーク市の財政難から頓挫。一時期は工事が止まっていたという長期の工事を経て、ようやくこの1月に開通しました。

通称「Q線」と呼ばれるこの路線に、63丁目(レキシントン・アベニュー)、72 丁目、86丁目、96丁目の4駅がオープンしました。開通に伴ってなんといっても話題を集めているのは、駅を飾る構内アートがすばらしいこと。駅ごとにそれぞれ違うアーティストが手がけているのも特徴で、ギャラリーのような面白さがあって、一見の価値ありです。

ニューヨーク セカンドアベニュー・サブウェイ

まずは、63丁目から見どころをご紹介していきましょう。この駅のアートを手がけたアーティストは若手のジーン・シンです。「エレベーテッド」をテーマにして、駅の入口には、かつて構想されて実現しなかったセカンドアベニューの高架線の梁が描かれています。そして改札まわりに描かれたのは、1920~1940年頃のニューヨーカーたちの姿です。古い形の乳母車を押す母親や、昔のスーツとソフト帽をかぶった人々。彼らの上に青く描かれているのが「架空で終わった高架線」です。「エレベーテッド」とは高架線の意味と、「高尚な」の意味があり、昔のNYと現代のNYをつないで、高く誇りを持つニューヨーカーたちを浮かびあがらせているようです。

ニューヨーク セカンドアベニュー・サブウェイ

そこから一気に96丁目にあがってみましょう。ここではブルーに白の壁画が出迎えてくれます。アーティストのサラ・ジィーは、「ブループリント・フォー・ランドスケープ」(風景のための青写真)というテーマで、鳥や羽、紙、梯子、建築途中の足場といったものが、風に煽られるイメージを展開させています。このブルーを基調にした動きあるイメージが繰り広げられている様子は、まるで地下鉄が引き起こした突風で壁画が吹きとばされたかのようで、生き生きとした躍動感を与えています。いかにもNYらしいエネルギーを感じさせる現代アートです。

ニューヨーク セカンドアベニュー・サブウェイ

そして86丁目の駅を飾るのが、スーパーリアリズムの巨匠、チャック・クロースのモザイク画です。スーパーリアリズムはアメリカを中心に1960年代半ば頃から現れた、主に写真をもとにして徹底的に写実的に描く手法で、チャック・クロースはその代表的な画家。まるで写真のような巨大なポートレート作品で有名です。ここに飾られた12枚のモザイク画は、NYを拠点とするアーティストたちのポートレートで、作品であると同時に、NYのアートを礼賛するものとなっています。こちらはミュージシャンのルー・リード(左)。チャック・クロース本人(右)のポートレートです。まるで写真のように鮮明ですが、近づいてみると、タイルのモザイクで出来ています。

ニューヨーク セカンドアベニュー・サブウェイ

さらにシンディ・シャーマン、フィリップ・グラス、カラ・ウォーカーといった著名アーティストの肖像画が飾られています。さらに、こちらの美しいポートレートは、画家のシェンナ・シールズ。じつはチャック・クロースの奥さまです。

ニューヨーク セカンドアベニュー・サブウェイ

そして72丁目に行ってみると、誰が見ても思わず微笑んでしまうような壁画が飾られています。作者はヴィック・ミュニッツ。「パーフェクト・ストレンジャー」(完璧に知らない他人)というテーマで、さまざまな人たちをリアルに壁画にしています。「知らない他人」といいながら、ここに描かれているニューヨーカーの姿は、まさに「いるいる、こういう人」といいたくなるようなリアルな人物ばかり。アイスキャンディを片手にした警察官。スニーカーで出勤しながら、会社で履きかえるハイヒールを手にした女性もいます。手をつないだ男性のカップルが登場しているのも、NYらしい多様性を感じさせます。他にも、子どもを抱えてベビーカーを持ったお母さん。ずらりと道具を腰から下げた電気工事士。ストリートミュージシャン。サリーを着ながらスマホをいじっている女性もいれば、トラの着ぐるみを着こんで、ランチの休みに出てきた男性もいます。作者のヴィック・ミュニッツも、書類を飛ばしてしまって大あわてになっているビジネスマンとして登場しています。

ニューヨーク セカンドアベニュー・サブウェイ

ニューヨーク セカンドアベニュー・サブウェイ

特別な人ではなくて、毎日ふつうに暮らしている人たちの姿が、長く残るモザイク画として表現されていること。そこには私たちが自分自身を愛しく思えるような、ポジティブなメッセージが込められているように感じます。

2.75ドルの運賃を払えば、見ることができる地下鉄ミュージアム。
NYを訪れたらぜひ寄り道して、このすばらしいクオリティのアートに接してみて下さい。

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The Metropolitan Transportation Authority
地下鉄路線図はこちら

  • Credits
  • Text : ANNA SUI MAG.編集部
    Photos : ANNA SUI MAG.編集部